無重力の季節
- satohsou
- 4月18日
- 読了時間: 1分
更新日:4月20日

やる気のかわりに
ただ ゆるやかな風がいた
どこへ向かうでもなく
なにを成すでもなく
浮かんでいた
最初は 地に足がつかないことが
こわかった
頼るもののない宙(そら)に
心がふわりと解けていった
でも あるとき気づいた
この空白には 重さがない
ということは
痛みも 競争も 期待も
すべて 一度手放せるということ
重力のない場所では
ただ在るだけで 祝福されている
誰にも見えなくても
進んでいなくても
この静けさの中で
魂は 再び育ちなおしている
無重力の季節
それは 終わるためではなく
新しいリズムにからだを慣らすための
やさしい 中間地点
そして いま
この空白に くつろげるようになった
それだけで
もう 充分すぎるほどの
旅のひとこま