春坐隠元寺
- satohsou
- 4月18日
- 読了時間: 1分
更新日:4月20日

春坐隠元寺 しゅんざ いんげんじ
苔径通禅古寺門 たいけい ぜんに つうず こじのもん
幽花照影落無言 ゆうか かげを てらして おち ごんなし
茶香一盞随風坐 ちゃこう いっさん かぜに したがいて ざす
水響千年入耳根 すいきょう せんねん じこんに いる
客語不生心漸澄 かくご しょうぜず こころ おいおい すむ
鳥聲自遠夢初温 ちょうせい おのずから とおく ゆめ はじめて あたたかし
只今天地如初醒 ただいま てんち はじめて さめしがごとし
微笑含情夕照昏 びしょう じょうを ふくみて せきしょう くれんとす
春の日、隠元禅師ゆかりの寺で静かに坐す
苔むす小径が、禅の古寺の門へと導く。
静かな花が影を落とし、誰も語らない沈黙を照らす。
一杯の茶の香が風に乗り、座する心に寄り添う。
水の音は千年の時を超えて、耳の奥へと沁み渡る。
客人の声も生まれず、心は静かに澄んでゆく。
鳥の声が遠くに響き、まどろみの夢がほのかに温もる。
この一瞬、天地はまるで初めて目覚めたよう。
淡くほほえむ想いを胸に、夕暮れの光がゆっくりと沈む。
この漢詩は「隠元禅師の庭で茶をすする」をもとに綴りました。