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やさしい雨



音もなく降りてくる

やさしい雨が

わたしを包む


洗い流すためではなく

進ませるためでもなく

ただ、立ち止まることを

ゆるしてくれる


空の涙は

誰の悲しみでもなく

ただこの世界の呼吸のように

静かに 満ちては しずまりかえる


窓の向こうの濡れた木々が

「そのままでいいよ」と

ささやく


今日は

何も育てなくていい

何も整えなくていい


この雨の余白の中で

少しだけ

自分を抱きしめていよう

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