ー今後さらに取り組みたいことはどんなことですか?
私たち自身がそうであったように、自分自身が視点不足であるということを自身で気づくことはなかなかできないのかもしれません。また、現代のように情報の国境がない時代で、一つの国の価値観だけに縛られていると、どんどん視野が狭くなる可能性もあります。
ただ、日本には「日本の教育はこのままで良いのだろうか」「もっと新しい視点が欲しい」「このままではいけない」と思いながら目の前の生徒たちを見つめ、日々の学校業務に埋もれまい、と懸命に働いている先生たちがいて、私はそういった先生たちのことを忘れたくありません。
全国津々浦々に、熱意がある先生がいるし、想いはあるけれどもくすぶっている先生もいる。
だから、教師を辞めた今、日本という国の外からその人たちつなげることをしていきたいと思っています。
日々、忙しい時間の中ではなかなか出会えないけれど、あなたが目の前の生徒を大事にしたいと思っているように、日本にはこれからの教育を良くしていきたいと思っている人たちがいますよということを伝えて、つなげていく。
そして教育者として成長したいという人をオランダへと引っ張って、オランダの教育現場を一緒に視察することでおみやげを持って帰ってもらいたい。
帰国後も熱いハートを持ちながら、ときにオンラインで集まって励まし合いながら学校をいろんなところから変えていく。そういう活動ができたらいいなと思っています。
制度も大事だけれど、やっぱり私は、ひとりひとりの意識も社会を変えるために必要だと思っています。
新しい視点を得たり、日本の教育を見つめ直す先生が増えることで「ほんとやね」「こんな風に変えたら良いのかもね」と対話が広がり、現場の教職員から教育が、日本が変わっていくと心から信じているんです。
政治家が社会を変えるとか教育界で上り詰めてからじゃないと制度が変わらないとかそういうのをよく聞くんですけど、「そうじゃなくて現場からでも変えられるって、みんなで信じて変えていこうよ」って言いたい。
「ひとりひとりの意識で、ものごとをよくすることができる」と教師が体現するその背中を子どもたちも見ている。「背中で語る教師として一緒に頑張りませんか」と先生たちに呼びかけたいです。