ー実際にこれまで1年半オランダで暮らしてきた中で、どんな気づきがありましたか?
例えばオランダでは小学校に通っている子どもの送り迎えをするのが一般的ですが、そもそも、その制度が社会をものすごく変えているなと感じます。つまり、子どもたちを社会の中心にして社会の仕組みがそれに合わせやすいようになっているんです。
朝8時半に子どもを学校に送って行って夕方15時半に迎えにいかないといけない。先にその制度があると社会の仕組みはそれに合わせざるを得ない。だから小学校に入るとオランダの保護者の中には働き方をセーブする家庭が多いようで、実際に周囲の保護者もそう言っています。
もちろんどの家庭でもこれが可能な訳ではありませんが、社会がそういうシステムになっている以上、企業は小学生の子どもを持つ親に向かって「いやもっと働いてくれないと困る」と言うことはできないと聞いています。
そういう意味では、制度を先に作って法律で通してしまい、企業はそれに従わざるを得ないようにするところが賢いというか、合理的だなと感じました。