日本の大学での教員養成システムは、一般的に座学が中心でインプットがとても多いんです。学生たちは先生の話を「聞く」ということで学んでいくスタイル。もちろん、4年間の中で、学んだことを実践する機会(教育実習)は2週間〜3週間はありますけど、それ1回だけ。教員免許は取れるんだけど、実際に教師として働くにはまだまだ距離があるのが現実です。
一方、オランダの教員養成課程は、4年間の中で、計1年間の実習があるんです。日本の15倍以上なので、カリキュラム上で重きを置いているポイントがはっきり違います。基本的にインプットとアウトプットの場が交互にあって、実践(アウトプット)の場があるから、知識(インプット)の吸収率が上がって、次の実践も実りあるものになるという感じです。このインプットとアウトプットを往還させる設計は効果的な学びになると思います。
期間的には、1年生の時は1ヶ月ほど実習があり、それが2年生3年生で段階的に増えていき、4年生では1年のうち6ヶ月間は教育実習に費やします。4年生にもなると、一人で授業をするというのはもちろん、保護者対応、三者面談、成績評価までも実習生がやっていきます。日本では絶対にさせないようなところまで学ぶ機会を与える。これなら卒業後、スムーズに教員が務まるだけじゃなくて、教職の現実を肌で感じて、自分の適性をちゃんと見極めた上で先生になることができる。
教員養成課程が「教員として必要な知識を得る」過程ではなく、「教員として働ける人材を養成する」過程になっているんです。言葉にすると当たり前のようで実際は難しいですよね。僕の身の周りを考えても「目的」と「実際にやっていること」がうまく噛み合ってないことがやっぱりありますから。