新人研修、管理職研修、リーダーシップ研修・・・
クリティカルシンキング研修、異文化マネジメント研修、ファシリテーション研修・・・

企業では階層等に合わせて様々な研修が実施されています。

さらに、コミュニケーションやアンガーマネジメント、マインドフルネスなど、様々なテーマに自ら取り組んでいる方も多いでしょう。

大人になっても自分自身を育て続けること。

それはなぜ必要なのでしょうか?

何を育てる必要があるのでしょうか?

1. 人の知能・能力には様々な種類がある

1983年、ハーバード大学のハワード・ガードナー教授がMI理論(Multiple Intelligences Theory:多重知能/知性理論)を発表しました。

MI理論とは、人間は複数の知能を持っているという考え方を示したものです。

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さらに1989年には米国イェール大学のピーター・サロベイ博士とニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー博士によって、EI(Emotional Inteligence:感情知能)という考え方が発表されました。

これらによって、それまで「IQ(Intelligence Quotient:知能指数)のみで人の知能を測定することができる」と考えられていたものが、「人にはもっと多様な知能がある」という考えが広まっていきました。

現在、米国の思想家であるケン・ウィルバーが提唱するインテグラル理論の中では、個人の意識に関連する主要な能力(知能)として10のライン(種類)が挙げられています。

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インテグラル理論は、心理学をはじめとした100以上の人間の成長や行動に関する理論をさらにまとめたメタ理論であり、世界の包括的な捉え方を提案しています。

2. 意識は段階を経て発達していく

例えば、「欲求」のラインにはアブラハム・マズローが自己実現理論で唱えた欲求の段階を適用することができます。

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同様に

「認知」のラインには、ロバート・キーガンの意味構築の発達段階

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「価値」のラインにはクレア・グレイヴスの価値観の発達段階

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を当てはめることができます。

発達をしていくごとに、欲求や世界の捉え方、価値観が変わり、それによって見える世界も変わっていきます。

各ラインの成長(発達)について、次の3つの特徴があります

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*認知のラインが発達していないと、他の発達を認知できないため、認知のラインは他のラインの発達のための必要条件であるが、十分条件ではないと考えられています。

さらに、各ラインが健全に発達していくためには次の条件が必要です。

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私たちの意識に関連する能力には様々なライン(種類)があり、それぞれのラインには段階がある。

そしてそれぞれの段階を存分に味わい、現実的な課題にぶつかり、それを乗り越え、これまでの段階を包み込んでいくことで、健全に成長・発達していく。

つまり、私たちの成長・発達には、順序があり、時間がかかるのです。

段階を追うごとに次の段階に進むためにかかる時間はより長くなり、場合によっては5年から10年、さらにそれ以上の時間がかかることもあると言われています。

段階を飛びこすことはできないため、私たちはそのときそのときの成長・発達に必要な取り組みや実践を行なっていく必要があり、その取り組みに終わりはないのです。

3. 発達をし続ける必要はあるのか?

一方で、そもそも私たちは成長・発達をし続ける必要があるのでしょうか?

意識が発達をしない場合をイメージしてみましょう。

例えば、意味構築の第2段階である、道具主義的段階では、周囲の人やものを「自分の欲求を満たす道具」のように捉えます。

通常であればそれでは人間関係が上手くいかないという課題にぶつかります。

その課題を乗り越えようとすることで、だんだんと自分とは違う様々な人の視点に立てるようになり、組織や共同体の中で他者と共に仕事や協働に取り組むことができるようになります。

ではもし、他者の視点に立つことができないまま組織を運営する立場になったらどうなるでしょうか?

そこにいる人たちを「自分の欲求を満たすための道具」と捉えていたらどうなるでしょうか?


私たちは生きていく中で、だんだんと職場の中で任される仕事が変わっていったり、立場が変わっていったり、家族ができたりしていきます。

経営者であれば、自らの器が組織の状態や限界を決めることになります。

年長者になれば、本人の望む・望まないに関係なく、その言動や存在そのものが周囲に与える影響も大きなものとなっていくかもしれません。

そして地域や国、地球全体といった共同体が存続していくためには、広い視野や多角的な視点で物事を捉えることが必要になります。

後に生きる人たちの成長を後押しし、人間だけでなく全ての動物や植物のためにこの地球や宇宙全体を残していくためには、私たち一人一人が自分を育て続けることが必要なのです。

また、成長や発達の可能性は私たちひとりひとりの中にすでに存在しています。

自分の持っている可能性や能力・知能を発揮することは私たちが生きている実感や喜びを感じるということにもつながっていきます。

しかし、私たちは現在、社会として人の意識の発達を後押しする仕組みを明確に持っているわけではありません。

なぜなら、これまで私たちは特定の文化や秩序を持った組織の中で仕事をし続け、特定の慣習を共有した共同体の中で生きていくことができていたためです。

そんな環境の中で生きるのであれば、ある一定以上の意識の発達を後押しする仕組みや取り組みは必要ありませんでした。

ただし、これからはそうはいきません。

様々な境界線が取り払われ、予測不可能・不確実に世界が変化する中では、様々な背景を持った人たちと共に学び、共に働き、共に生き、共に何かを創り出していくことがすでに急務となっています。

そんな変化のときに生きる私たちは、大人になっても自ら自分を育てていくことに取り組み続ける必要があるのです。

4. 自分自身を育てていく上で大切なこと

最後に、そんな意識の発達に関する注意点をご紹介します。

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自らを育てていくこと。

それは私たちにとって必要なことです。

しかし、今いる場所、今見ている景色が大切でなかったり、何かが劣っていたり、足りないのかったりするのか言うと、決してそうではありません。

歩いていれば見える小さな花があり、自転車に乗れば感じられる風があり、飛行機に乗れば見える山々があるように、自分自身や他者にとってそのとき見えている景色はそれぞれに美しく、かけがえのないものです。

どんなときも新たな成長の可能性を秘めているとともに、どんなときもそのときの精一杯の自分を生きている。

これまであゆんできた私たちを見守る存在があったように、私たちも自分自身と他者を見守り、それぞれのあゆんできた道も、今いる場所も、これからあゆんで行く道も愛を持って見守っていけるといいのではと思っています。


「どうしたら自分を育てていくことができるのか」
「どうしたら他者が自分を育てていくことを後押しすることができるか」
について、また別の機会にご紹介できればと思います。