12月もあっという間に後半になりましたね。
日本では「師走」と言えばみんなバタバタしているというイメージですが、オランダは相変わらずのんびり。すでにバカンスに出ている人もいるのか、街はいつもより静かな気もします。

年末に近づいているということで、コーチングセッションでも「1年の振り返りをしたい」というリクエストをいただくことが多くなりました。

せっかくなので、この時期に、しっかりと振り返りをしたり、新たな目標を立てて、新しい年を気持ちよく始めたいですよね。

というわけで今日は、持っている力を発揮するための効果的な振り返りの方法をご紹介します。最後に、効果的な振り返りをするのにおすすめの場所もご紹介しています。

また、メールマガジンにご登録いただいた方に「節目の振り返りのための20の質問」もプレゼントしています。

<こんな方に>
・業界の中で新しいことに挑戦している方
・既存の慣習や考え方を壊していきたい方
・思考の枠組みを更新し続けたい方
・自分の限界が組織の限界になる立場の方
・認知能力や内省能力を成長させていきたい方

1. 「振り返り」は何のためにする?

普段あなたは「振り返り」をしていますか?
どのくらいのペースでしているでしょうか?
コーチングのクライアントさんには、「振り返り」の習慣がある方が多くいらっしゃいます。特に、経営者や営業マンなど、日々の意思決定や行動が企業の業績や売り上げに直接影響する役割の方は毎日振り返りをしているということも少なくありません。

日常的に行う振り返りは大きく2つの効果があると考えられます。
①上手く行っていることを見つけ、それを続けられるようになる
②上手く行っていないことを見つけ、それを変えるようになる

振り返りを行う対象は「行動」に限りません。
例えば、自分が身を置く環境や人との関係性、心の持ちようなど、「どんな条件が揃えば上手くいくか」「どんな状態では上手くいかないか」に目を向けることによって、自分自身が力を発揮しやすい、内的・外的環境を整えていくことができるようになります。

成果を上げる人は、①②を短いサイクルで回し、行動や心持ち、他者との関係性や環境を自ら改善していくことができている人だとも言えるでしょう。

2. 「節目」だからこそ振り返るべきこととは?

普段から行うことが有効な振り返りですが、では年末や年度末など、節目にはどんなことを振り返るのが良いでしょうか。

日常的な振り返りと節目の振り返りの大きな違いは時間軸です。日常的な振り返りでは1日や1週間など比較的短い期間での自分自身の状態や行動、その結果について目を向けることができます。一方で節目の場合、半年や1年など比較的長い期間での変化や成果に目を向けることができます。このときに大切になってくるのが実際に進んできた道のりが、自分が望んでいる方向性と合致しているかどうかということです。

例えばマラソンなど長距離を走っているとき、ランニングウォッチを使えば、1kmごとのラップタイムや心拍数を測ることができます。GPSが付いているものであれば、現在地についても確認ができるでしょう。日常的な振り返りというのはこのように、「確実に進んでいる」ということを確認するために行うものであり、必要に応じてペース配分などを調整するためのツールとも言えます。

一方で節目の振り返りというのは「どのマラソン大会に出ようか」というのを決めるのに近いかもしれません。「マラソン初心者だから、まずはとにかく気持ちよく走れるよう、景色が良くて勾配が少ないルートを走る大会に出てみよう」「長距離を走ることに慣れてきたから、ちょっとアップダウンがあるルートにチャレンジしてみよう」はたまた、「そもそもマラソンは向いていないかも、短距離走に切り替えてみようか」「一人で走るマラソンよりも、チームでプレイするサッカーの方が好きだった!」ということもあるかもしれません。

このように節目の振り返りというのは、「そもそも参加しているゲームの種類はこれでいいのか」「人生の方向性がこれで合っているのか」ということを確認する機会なのです。

もしこの「大きな方向性の確認」をすることなしに、目の前のことに取り組み続けたとしたら、後になって「結果は出したけれど、心は満足しない」ということが起こってしまうかもしれません。

また、「大きな方向性」を確認するにあたって、自分自身の現在地とともに「変化」を確認することも大切です。「変化」が分かれば、そこから「速度」もしくは「加速度」のようなものも捉えることができます。現在向かっている「方向」と「速度」がわかってこそ、より、次の一歩どちらにどう踏み出していくのがいいのかを検討することができるのです。

「変化」というのは短いスパンでの振り返りではわかりづらいことであるため「節目の振り返り」に重点的に目を向けたいことの一つです。

3. 「節目の振り返り」を有効に行う方法

では、そんな「大きな方向性」と「変化」の確認を効果的に行うにはどうしたらいいでしょうか。

ポイントは

<効果的な振り返りのポイント>
①多元的・多様な視点を持つ
②明確な比較対象をつくる
③感覚を感じてみる

です。

3-① 多元的・多様な視点を持つ

「視野を広げる」ことにについては、以前別の記事でご紹介しました。

参考記事:「視野」ってどうしたら広がりますか?

<ものごとの見方に関する4つの象限>

a. 自分自身の、主観的に体験すること(I)
b. 自分自身の、客観的に捉えられること(It)
c. 組織や集団の中で主観的に体験されること(we)
d. 組織や集団の中で客観的に捉えられること(Its)

私たちはそれぞれ、この中のどこかに思考が偏る傾向があります。
自分の行動に多く目が行く人もいれば、自分の感情に多く目が行く人もいれば、環境や外的な変化に目が行く人もいます。

いつも全ての象限を網羅することは難しいですが、節目の振り返りの際は普段はあまり考えない領域について目を向けてみると、それまでとは違うものが見えてくるかもしれません。

また、「視点を増やす」ということについても以前ご紹介しました。
参考記事:「視点が増える」ってどういうこと?

I. 視点自体を変える
・一人称(わたし)の視点
・二人称(あなた)の視点
・三人称(あの人)の視点
・四人称(あの人を見るあの人)の視点

II. 時間軸を変える
・現在
・過去
・未来

Ⅲ. 客体化する対象を変える
・自分自身の思考自体を客体化する
・自分自身の体験が思考に与える影響を客体化する
・自分自身の行動が周囲に与える影響を客体化する

このように私たちは様々な視点を取ることができるため、「自分は今どの視点でものごとを見ているのか」を考え、それとは違った視点からどうかということを考えるのは、特に広い視点で見渡すことが必要な「節目の振り返り」には重要です。

普段は目の前のこと、細かいことに目が行きがちという方は、自分がどんどんとカメラのレンズをズームアウトさせていくことをイメージしてみていただければと思います。

3-② 明確な比較対象をつくる

節目の振り返りでは、「変化」に注目することが重要ということをご紹介しました。変化というのはbefore/afterでどう違うかということで、当然、比較対象が必要になってきます。

そのときに大切なのは、「比較対象を明確にする」ということです。人は、比較対象があるほど、より、細かく思考や想像力を発揮する巡ことができるという性質があります。なんとなく「以前の自分とはどう違うかな」「今の私ってどんな感じかな」と考えるのではなく「1年前にはやっていなかったけれど今やっていることは何だろう」「1年前に比べて、自分が周囲に与えている影響はどんな風に変化しているだろう」「半年前と比べると周囲の人の行動はどう変化しただろう」と、比較対象と考える視点を明確にすると、様々な角度から変化を捉えることができるようになります。

このとき、さらに大切なのは「変わっていないこと」や、「やらなくなったこと」にも目を向けるということです。

「変わっていないこと」というのは一見、進歩がないネガティブなことにも捉えられますが「悪くならないようにできた」という見方をすることもできます。放っておいたら悪くなっていたかもしれないことに対してどうやって「変わっていない」という状態を保てたかと考えてみることで、そこから自分の強みや大切にしたいことが見えてくる場合もあります。

また、「やらなくなったこと」や「起こらなくなったこと」「なくなったこと」も大きな変化の一つですが、現在すでに「なくなっている」ために変化として見落とされがちです。

新鮮な目で現在を見つめ、明確な比較対象と比べてみることで、普段は気づかない変化を見つけ、それを自信や学びにしていくこともできるでしょう。

3-③ 感覚で感じてみる

ここまで、4象限でのものごとの捉え方や視点の種類など、比較的整理された形での振り返りの方法をご紹介してきました。

「まんべんなく」「見渡して」というのは、自分や周囲の変化を振り返り、より良い一歩を選択するために確かに重要です。

しかし、「節目の振り返り」においてもっとも重要なことは、「思いっきり感覚で感じてみる」ということです。

私たちは普段、左脳や交感神経が優位な状態でものごとを考えること多くなりがちです。たくさんのことを効率的に処理していくためには必要なことですが、左脳的な処理ばかりでは他者からの評価や社会的な価値観を無意識のうちに自分自身の基準にしてしまうということも多く起こっています。

人間は本来、必要なことを選び取る感覚や感性を持っています。それらを発揮することで、より、自然な状態で、心が望む方向に進んでいけるようになります。

バランスよく1年間の変化を見渡したら、その後にはぜひ、全体をぼんやりと感じながら「それで私は今どんな感じがしているかな」と、自分自身の内的な感覚に目を向けてみてください。

1年間のことで特に嬉しかったことはどんなことでしょうか。
引っかかっていることはどんなことでしょうか。
浮かんでくるのはどんなイメージでしょうか。
どんな言葉でしょうか。
どんな音でしょうか。

それらが教えてくれるのはどんなことでしょうか。

あなたの感性を発揮して、ぜひ、心の中の小さな声に耳を傾けてみてください。

4. 「効果的な振り返り」をするのに効果的な環境

ここまで、効果的な振り返りのポイントをご紹介してきました。

<効果的な振り返りのポイント>
①多元的・多様な視点を持つ
②明確な比較対象をつくる
③感覚を感じてみる

では、これらは、どうしたら上手く行うことができるのでしょうか。

効果的な振り返りをするために必要なのは、「振り返りをするのに効果的な場所に身を置く」ということです。

具体的には次の3つの条件が揃った場所がおすすめです。

<振り返りをするのにおすすめの場所・環境>
① 音や光などの外的な刺激が少なく、心が静かになる
② 職業や役職を気にせず、「何者でもない自分」でいることができる
③ 評価や個人的な感情をはさまずに、見守ってくれる人がいる

外的な環境が静かであれば、心の中の小さな声や感覚を捕まえやすくなります。インターネットがつながらない場所や言葉が通じない場所というのもいいですね。

また、普段担っている役割を脇に置くことができると、思考の枠組みも広げやすくなります。裸の自分になるということで、温泉なんかもおすすめです!

さらに人は、自分にとって大事な儀式を誰かに見届けてもらうことで、「確かにそれを行なった」という実感を持ち、過去の自分を完了させることができるという性質もあります。完全に一人で、というのもいいですが、「話を聞く」というわけでなくとも、ただ見守ってくれるというという存在がいるだけで、新しい自分として新たな一歩を踏み出すことができるようになります。

5. 「節目の振り返り」をするのにおすすめの場所

ちなみに私がこれまで訪れた場所の中で「節目の振り返り」におすすめの場所は

 空穂宿(くぼしゅく)
山梨の山奥にあるゲストハウス
「やることがない」のがこんなに落ち着くのだと教えてくれる場所。
おじいとおかみの「おかえりなさい」と「いってらっしゃい」があったかい。

私が最後に訪れたのは夏、花火大会の季節でした。

その頃、読んでいた本たち。

② フィリピン ボラカイ島
会社員を辞めてすぐ、フィリピンのセブ島の語学学校に1ヶ月ほど行き、そこで年末年始を過ごしました。そして12月30日から31日にひとり訪れたのがボラカイ島。日々、そこにある時間を楽しみながら生きる人たちの姿を見て、「生き方」についての考え方が大きく変わった場所です。

こちらはセブ島から船で行くことのできるカオハガン島。
ここでも静かな時間が流れていました。

残念ながらお天気が悪く、帰りの飛行機が飛ばなくなり、ボラカイ島近くの小さな空港でフィリピンの人たちと新年を迎えることになりました。それもいい思い出。
あたたかいところもいいけれど、寒いところもまたいいですね!

③ 北鎌倉 浄智寺 たからの庭
煎茶道や和菓子づくりのお稽古で2ヶ月に1回ほど通っていました。
敷地の奥に入るにつれて、スマホの電波が入らなくなり、歩いていくだけで心洗われるような、「心の静けさ」の大切さを教えてくれた場所。

季節ごとに咲く花を見つけるのも楽しみでした。

帰り道に、北鎌倉駅近くの儀平で「うすかわ饅頭」を食べてお茶をするのも密かな楽しみでした。

おまけ
(行ってみたい場所)
金沢 鈴木大拙館
まだ行ったことがありませんが素敵な場所と聞いて、行ってみたいなと思っています。

「効果的な節目の振り返りの方法」と、「節目の振り返りをするのにおすすめの場所」をご紹介してきました。

改めて、2019年はあなたにとってどんな一年でしたか?

2019年の残りの時間が、そして2020年も、あなたにとって素敵な時間になりますように。