ある一定のスキルや知識を獲得し、経験を積み重ねていくと、このテーマにぶつかるのだろう。体系的に教える・学ぶことのできることには限界があり、プロフェッショナルとしての能力を高めていくには、自分自身の感覚や感性、認識を更新していくことが必要だと感じるようになる。

ただ、そんなときに教えを求められる先は少ない。

何せ、言葉にして教えることができない領域なのだ。「何か新しいことを知る」ことでは獲得できない領域なのだ。

そのため私たちは瞑想やヨガ、禅的な修行、道と呼ばれるもの、様々なワークなどに後押しを乞う。

そんな中で、この書は「超感覚世界の認識を獲得する」ための具体的な方法が書かれている貴重な一冊だ。

と言ってもここに書かれていることは現実離れしたことではない。

大きくは「現実世界にしっかりと目を見開け」と書かれているようにも感じる。

−われわれよりももっと高次の存在があるという深い感情を自分の中に生み出すのでなければ、われわれ自信が高次の存在へ高まろうとする力を内部に見出すことはできないであろう。

『いかにして超感覚世界の認識を獲得するか』 ルドルフ・シュタイナー著 高橋巖訳

本書では、基本的実践を紹介するとともに、霊界参入ための取り組みについても具体的に紹介をされている。

基本的実践の例
・内的平静の瞬間を確保しその時間の中で本質的なものと非本質的なものを区別することを学ぶ
・毎日わずかな時間でも、自己を日常生活から隔離する時間を持つ
・自分が体験する一切をより客観的な観点から見るよう心がける

霊界参入の三段階
1. 準備
2. 開悟
3. 霊界参入

1. 準備の例

・生命の発生・生長・繁栄と、衰微・凋落・死滅の二つの相を観察する
・完全なる内的平静を保ちながら、魂の中に立ち現れる感情と思考の両方に集中する
→霊界(アストラル界)が姿を現し始める

「超感覚世界の認識を獲得する」「霊界への参入」と聞くと、非日常的なで特別な取り組みのようなものを想像するが、必ずしもそうではない。
それはここで書かれている「獲得」が、一時的な状態(ステート)を体験することではなく、意識の段階自体が変容することを示しているからだろう。

また、「超感覚世界の認識」というのはただ獲得すればそれで全てが上手くいくというわけではない。新しい認識の世界に適応することと合わせて取り組まなければ、本来目の前の現実を変化させていきたいという取り組みだったはずのものが、現実世界との断絶を生んでしまうことにもなりかねない。

そういう意味で、自分自身が意識的かつ継続的に現実世界に対して向き合うことを通じた「超感覚世界の意識の獲得」というのは、それぞれの人のあゆみに合わせた自然な実践と言えるだろう。

参考:『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』ルドルフ・シュタイナー著 高橋巖訳