長月のつづり

 

20230903 小さなともだち

 
先日から朝の楽しみが増えた。
デッキでお茶を飲みながら、小さな「ともだち」を探す。
 
いまだに正体はわからないけれど、植物の「茎」のような姿をしているその生き物は
なんだか不思議で、愛嬌があって、惹きつけられる。
 
昆虫などが何かに姿を似せることを「擬態」というが、
はたしてこの生き物は「擬態している」と言っていいのか。
 
「している」というのはあたかも意志や意図がそうさせているように感じるが、
そもそもこの生き物に意志や意図があるか定かではない。
 
「擬態している」というより、「擬態である」と、ただ状況を描写した方がしっくりくる。
 
いったいどんな生態なのか知りたくて検索をしてみたが、それらしいワードを入れると 「かわいらしい」と思える許容を超えた生き物たちの画像が出てきてしまうので、 わたしたちは「ともだち」と呼び続けている。
 
一昨日、この擬態に植物は気づくのだろうかと思い、
くるりと蔓を巻いている植物を近づけてみた。
 
そうするとほどなくして「ともだち」の胴体に蔓が巻きついた。
 
それまでにさんざんちょっかいを出して、「ともだち」は、
片方の端をつついたときは動くけれど(そこがいわゆる「頭」なのか?)
反対側や胴体のような部分をつついても動かないことがわかっていたが、
植物が巻きついても微動だにしないその姿を見て、「どんな状況になったら動くのだろう?」と興味が膨らんだ。
 
そんなこともあり、そのままにしておき、数時間経って様子を見に来たら、
なんと、蔓はさらにくるくると、4回転くらい「ともだち」の動体に巻きつき、
そしてその状態で「ともだち」は十数cmほど動いていた。
 
植物の力も、昆虫(昆虫なのか?もしかしたら植物なのかもしれない)の力も驚きだ。
 
蔓は直径1mmにも満たず繊細な見かけだが、しっかりと「ともだち」の動体に巻きついていて、彼を離しそうにない。
 
そんな様子を見て不憫に思ったのかピーターさんが「外してあげよう」と言った。
 
確かに顔色?が悪くなっているようにも見える。
 
しかし、器用に巻きついた蔓は簡単にはほどけず、結局、蔓を切って、くるくるを解いた。
 
そんなすったもんだを経て、今日も「ともだち」は植物の中に紛れている。
 
そんな彼を見つけ、時折、不自然に揺れる姿を眺めるのが、最近の朝の楽しみだ。