940. さよならは静けさの彼方に

 

コロナがなかったら私たちは一緒にいることができたかな。

何度もそんなことを考えた。

何度も考えたけれど、やっぱり答えは変わらなくて、一緒にいることができないのはコロナのせいじゃなかった。

「変えることのできないものを受け入れる力を、変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください」

何度もそんな言葉を思い出した。

結局それが、変えることのできないものだったのか、変えるべきものだったのか、どっちらだったのかは分からない。

結局私は、変えることのできないものを受け入れる力と、変えるべきものを変える勇気のどちらもを持つことを選んだ。

あたらしい一歩を踏み出すためにはそのどちらもが必要だった。

あの選択は正しかったのだろうか。

きっとしばらくはそう思うことになるだろう。

選ばなかった未来は、現実よりもいつも美しく見える。

でも「もう一つの未来」なんて本当はどこにもなくて、私たちはいつも、「今」をつくり続けてる。

おはようと言うこと。
お茶を飲むこと。
散歩をすること。
小さな花を見つけること。
美しい景色に息をのむこと。
美味しいねと笑い合うこと。
ありがとうと言うこと。
おやすみと言うこと。
そしてまたおはようと言うこと。

生きている間に、あと何回、大切な人とそんな時間を過ごすことができるだろう。

死ぬ瞬間に思い出すのはきっとそんな、何でもない日常の中にあった愛のこと。

これまでもそうだったように、私はこれからもそうしていくのだろう。

愛に生きるということは、愛を失うかもしれないということ。

またたくさんの涙を流すことになるかもしれないということ。

それでも私は愛を生き続ける。2020.12.22 Tue 20:52 Den Haag