815. 余白の中で生まれるもの

 

洗い物や掃除機がけを終え、バルコニーへと開け放った窓の横に置いた大きな机でパソコンを開く。いつもは日記を隣の小さな書斎で書いているが、今日はまだ広々とした空間に身を置きたいという欲求があった。

一昨日の深夜のセッションに続き、昨日も午前中から何件かセッションを持った。普段であれば組まないスケジュールだが、定期でセッションを持っているクライアントからのリクエストで、ちょうど空いていた時間に追加でセッションを入れたのだった。

幸いにも気温が下がって快適に過ごせるようになっていることもあり、また先週一週間暑さのために休養期間とせざるを得なかったためか、明晰な意識と感覚を保つことはできていた。

昨日は途中、思考せず、感覚に意識を向けることもしない「ぼーっとする」休憩を取ったがこれが思いの外良い時間だった。無音にも近い空間に身を置き、窓の外をぼーっと眺める。そのときの感覚を今思い出すと、『風の谷のナウシカ』で、ナウシカがオームの触手のようなものに包まれるシーンが想起されてきた。大いなる自然に癒されている。そんな感覚だ。

土日は表の通りを通るトラムも少なく、中でも日曜日はおそらく人の活動も少ないので、家の中にいると、聞こえてくる音は本当に少ない。静けさが頭の中、心の中を浄化していく。

先日、日本でコーチングの窓口をしてくれている会社を経営している元同僚と久しぶりに話をしたが、今の自分が思う適切なクライアント数を伝えたところ驚かれた。きっと、クライアント数をもっともっと増やしたいというコーチの方が多いのだろう。私の場合は現在すでに適切だと思う人数を超えている。中には不定期や期間の決まったセッションの場合もあるため、スケジュールとしてはちょうど良いくらいなのだがより現在の専門性やこれまでの経験を活かすことのできる形でクライアントと時間を共にしていきたいという想いがある。それは同時に、研究や探究のための時間を十分に取りたいという想いでもある。そして何より、静かな時間が必要なのだ。

もし、仮に使うことのできる全ての時間をコーチングセッションにあてたとしたら、その分多くの人にセッションを提供することができるかもしれないが、自分自身をととのえるための時間がなくなり、感性や感覚を十分に働かせることができなくなってしまうだろう。

たくさんの人と直接関わることはできないが、違う形で多くの人に何かを届けるとともに、純度の高い「濃縮還元果汁」のようなものを一対一で関わる人に届けていければ、探究と実践をバランス良く行なっていけるのではないかと思う。

常に計測可能な指標や相対的な評価の中で自分を計るという中ではこぼれ落ちてしまう見えないものと向き合い、深め、育てていくような活動をいかに増やしていくことができるか。

それがめぐりめぐって日本社会への貢献や還元にもなるのだろうと思っている。2020.8.23 Sun 13:54 Den Haag

 

816. 気温の変化、体の変化、近づく楽しみ

この日記を書く前にフローニンゲンに住む友人の日記を読んだところ、先々週、ハーグが最も暑かった時期に私が書いた日記を読み、「『ぐったり、ぐっしょり、ぐっちょり』している様子が文体から伝わってきて思わず笑顔になってしまった」というくだりがあり、私もまた笑ってしまった。ちょうど一週間前に自分が書いた日記にも「この一週間私は『暑い』『頭が働かない』『身体に熱がこもっている』ということしか書いていないのではないかという気がしてくる。」という文言があり、友人が受け取ったことは、まさに、である。

昨年の今頃も暑い日はあり、中には最高気温が40度に近づいた日もあったのだが、一週間の間ずっとぐったりしていたということはなかったように思う。今年はそもそも夏の時期に「やろう」ということを多く見積もり過ぎていたという感はある。同時に4年目となった欧州での生活習慣や食習慣の影響、年齢による体の変化などもあるだろう。

最近は体調のことなどで気になることを調べてみると、だいたいの場合、原因の一つに「加齢」と書いてある。歳を取っている感はあまりないのだが、特に女性としての機能に関するものは年齢の影響を大きく受けるものも大きい。運動や食など改善の余地は多分にあり、それに取り組んでいくことが必要なものの、同時に、体の変化と共にどう生きていくかに向き合っていくことになるだろう。アンチエイジングではなく、ウェルエイジング。精神も肉体もそんなテーマに取り組むステージに入ってきている。

そんなことを考えながら、今、二週間後となったフローニンゲン訪問が非常に楽しみだ。(この日記をアップするのは1週間後であるから、そのときは1週間後になっており、きっとますます楽しみになっているだろう。)

それまでの間、ここ数ヶ月間取り組んできたことがひと段落することがいくつかある。この数週間は新しい書籍を購入することも控え、取り組んできたので、ひと段落し、また本を読んだり執筆をしたりと探究活動に重きを置けることを想像するとこれまた嬉しい。
先日、日本に住む友人が誕生日のプレゼントにと出汁や乾物などを送ってくれ、その中に読みたいと思っていたフォーカシング指向のアートセラピーの本も同梱してくれた。カリフォルニア大学で30年以上、フォーカシングとアートセラピーの実務に携わってきたにローリー・ラパポート博士はフォーカシングとアートセラピーの相互統合によって深いレベルの治癒的変容や個人的成長を観てきたということで、アートと変容がどのように関連づけられているのか具体的にどのようなメソッドが用いられているのかはとても興味深い。

この本を早く読み始めるためにも、目の前のことに区切りをつけたい。やることのうち一つは、残っている部分はもう創造的な活動ではなく「To Do」のようなものなので(それに時間がかかることが悩ましいのだが)来週の前半には区切りをつけたいと思っている。その後は、短期的、中期的な取り組みであり、創造的な活動でもある、執筆活動にまた力を入れていくようにしたい。

そうこうしているうちに別の新たなプロジェクトも始まる。

これまでもそうだったが、今後の予定や取り組みはますます楽しみなものばかりだ。何よりはまず二週間後のフローニンゲン訪問に向けて、今目の前にあることにしっかりと取り組みたい。

今日はこのあと、先日、普段ご一緒している企業から急遽依頼があった言葉づくりに関する仕事に、まっさらな心で向き合いたい。2020.8.23 Sun 14:42 Den Haag