602. 遠くなる日本とここにある日常

今日も、眩しい日差しが書斎の中に差し込んでいる。日差しだけ浴びていると、すっかり初夏のようにも感じられるが外の気温はまだコートが必要なくらいの寒さではある。

キッチンとリビングからは家の前の通りを走り抜けるトラムの様子を見ることができるが、乗車人数は日に日に減っている。先ほど通ったトラムに乗っていたのは1つの車両に1人。合計2人の乗客だった。街の中心部から外に向かう車両だからもともと日曜日のこの時間の乗車人数は少ないが、それにしても、である。

昨日、父からメールが届いていた。私宛の郵便が届いているという。昨年参加した東北大学病院が行なったクラウドファンディングのリターンで、栄養管理室が作ったレシピが入ったものだ。数日前に母にLINE郵便が届くメッセージを送っておいたのだが、昨日の時点でまだそのメッセージは読まれていないようだった。

入っているものを伝え、1冊は妹の分なのでもし郵便を送ることがあったら同封して欲しいということも書き添えた。

まもなくして母からもLINEの返信が来た。妹にすぐに郵送すること、うぐいすが鳴き始めたこと、桜が咲いたことなどが書いてあり、私が当分帰れないであろうことを残念がる言葉もあった。

そうなのだ。できれば春に一度日本に行ければと思っていたが、今回は難しい。それどころか、国やエリアをまたいでの行き来が規制されている中、次に日本に行けるのがいつかも、また日本にいるパートナーがオランダに来ることができるのがいつになるかも全く見通しがたたない。

この冬は随分と引きこもっていたし、もともと人の多いところにはあまり行かないし、今のところいたって健康なのだが、ウイルスの媒介者となってしまう可能性もある。

移動が制限されるのは残念なことではあるし、ウイルスの脅威がどれほどのものなのかというのは体感として分からないけれど、変わらず静かに淡々と毎日を送っていたいものだ。

昨晩は夜中のセッションを終え、比較的早く眠りについた。そして晴天の中差し込む日差しであっという間に目が覚めたように思ったが、その後また、明るさの中でまどろんでいた。夢を見たように思うが、その断片さえもう見つけることができない。

今ここにあるのは、窓越しに感じる暑い日差しと、本棚にならぶ本たち。そして日記を書いている私。結局自分にとっての「世界」とは、そんなものなのだ。

目をつぶると、カモメの声が聞こえてきた。2020.3.22 Mon 11:41 Den Haag