600. 身体反応の変化

今日も薄曇りの空だ。昨日とは違って、微かに波打った雲の模様が見える。中庭を挟んで斜め前の家の屋根につけてあった黒い凧は姿を消した。凧が付いていた糸だけが、釣竿のような棒の先でゆらゆらと揺れている。カモメが一羽、中庭の上を旋回していく。

昨日は夕方過ぎに何かのスイッチが入り、4時間ほど執筆作業を続けていた。

ここのところそんなことが時折ある。冬の間溜め込んでいたものを出していくかのように、綴られたい言葉が、列をなしているのだ。

そんなときは、「明日にしよう」などと思わず、やりたいだけやるようにしている。どうにもこうにも頭が働かなくなったらベッドに入る。しかし多くの場合、意識はまだ冴えていて数時間寝付けないこともある。

以前だったらこんなとき、「できるだけ毎日規則正しく」とか「書く時間を決めてそれを習慣にして」などと考えていただろう。寝る時間や起きる時間はある程度決まった中に収まるのが良い気はするが、それ以外ではもう、最低限の健康を保てるはずの土台はあるはずで(それは単純に働き過ぎないということなのだが)、そうであればあとはその日その日思いっきり自由演技をすればいいのでは思うようになった。

1日の中で取り組みたいことは尽きない。「いろいろなことができた」とも思うし、「あっという間の一日だった」とも思う。あとは、季節の変化を感じ、鳥の声を聞くことができていれば「良い一日だった」と思えるだろう。

一昨日には確定申告も終わらせることができた。「まだ時間がある」とタカをくくっていたがオランダに住む友人の日記から意外と時間がかかるということを知り、「時間がある」と思ううちにやっておこうと思った。

やってみると他の手続きと同じく、全てオランダ語での表記がなされており設問も多かったので確かに結構な時間がかかった。今後オランダ語を学ぶかというのは悩ましいところだ。オランダでの永住権を手にするにはオランダ語の試験に合格しなければならない。しかしながら今は学ぶとすれば一旦はもっと英語を上達させたいとうい考えがある。少なくとも、日本語と同じ速さで英語の書籍が読めるようになりたい。

なんてことを確定申告を終わらせて考えたのだが、今回確定申告で気づいたのは、身体的な拒否反応が起こらなくなっているということだ。

会社員の頃から経費精算というのがどうも苦手だった。(あれが好きだという人はなかなかいないだろうけれど)

たいていの場合、細かいエクセルシートなどにパチパチと数字を打ち込むことになるのだが、あの細かさと、繰り返しの作業をやっていると身体の力が抜け上半身が傾いていくるのが常だった。パソコンと身体の間にペットボトルを置き、その上に顎をのせ、頭を支える。そんな姿勢でいつも月末や月初に作業をしていた。

経費が返ってくるというのは当然の権利なのだけれど、その作業だけ見ると義務でしかなく、やらされ感満載だった。

幸いなことに普段の仕事はどれも「仕事だから」という理由でやるのではなく「やりたいこと」だったのでそういった感覚になることはなかったが、もし仕事そのものに義務感を感じていたら普段の仕事中もあんな身体の状態になっていたのだろうか。

オランダに来て個人事業主のビザを取得し、3ヶ月に1回の税の申告が始まったときも最初は細かいエクセルシートを見て気が遠のきそうになった。「3ヶ月に1回、3ヶ月分の申告をする。ということは3ヶ月に1回あの苦痛の時間を過ごすのか、それとも1ヶ月ごとや1週間ごとにちょこちょこ分割すべきか」などと考えたが、細かい入力があったのは最初だけで、普段は仕事の経費などもほとんど発生しないため、入力の手間はそうかからない。そして2回目の申告以降、割と楽な状態で入力をすることができるようになった。

大した違いではないが、反応的に起こる身体反応がなくなるというのは私の中では結構な価値があることだ。ある意味正直な反応であり、決してそれが無駄というわけではないけれど、できれば心地よい状態でいられる方がいい。

前回日本に行ったときは、特に東京の谷に溜まったエネルギーが重く感じたが、今後はそれも変わっていくだろうか。しかし日本に行くとしてももう東京に立ち寄る理由はほとんどんないような気もしている。そういえばオランダにはパワースポットのような場所はあるのだろうか。(世界のパワースポットは多くの場合その地形と関係しているので、真っ平らなオランダにはそんな場所はないのかもしれない)

外出は極力控えるようにというお達しが出ているようなので今はあまり動けないが、もう少しあたたかくなったらオランダ内の色々な街に足を運びたい。2020.3.20 Fri 9:19 Den Haag