509. 出版社に原稿を渡す私と父の夢

窓を開けると、冷たい空気とともに、鳥の声がそっと家の中に入ってきた。庭の木には、鮮やかな黄緑色をした鳥が二羽、何かを啄んでいる。あの鳥が庭にやってくるときは、必ず二羽かそれ以上が一緒だ。そう思っているけれど、「ペア」や「仲間」を見せているのは、自分自身の心なのかもしれないと思う。

今日は目覚めの直前に見た夢を割とハッキリと覚えている。

夢の中で私は、書籍の原稿を出版社の人に渡そうとしていた。出版社と言っても、書店と一緒になっているらしく、そのレジカウンターの周辺で、以前会ったことのある偉い人を見つけ、声をかけようとするも他の人との話がなかなか終わらず、仕方なく、向かって左側のカウンターのところのスタッフに声をかけた。そこにいたスタッフは、さながら、電気屋さんで携帯電話の契約の受付をしているような雰囲気で「出版の話を請け合ってくれるだろうか」と心配したけれど、原稿を持ってきたことを伝えるとすぐに、偉い人に声をかけに行ってくれた。私の名刺入れには偉い人に以前もらった名刺があり、そこには「神湊」という名前が書かれており、その上に「かんな」というルビが降ってあった。(福岡には「神湊」という地名があるが、「こうのみなと」と読む。)

私に気づいたかんなさんが、別のスタッフに声をかけ、その人が私のところに来て「では原稿をお預かりします。内容を確認して印刷に入りますので」というようなことを言ったので、私は焦って「原稿はまだはじめの部分しかできていない」ということを話した。どうやら夢の中の私は、原稿のはじめの部分を出し見てもらう必要があると思っていたものの、原稿を提出すれば本になるという状況だったようだ。

これらの一連の出来事とともに印象的だったのは私の隣に父がいたことだ。最初のスタッフと話をするところからずっと、横から何か言葉を挟んできていた。話の流れ上、よく分からない内容もあり、それを聞きながら私は「お父さん、今そんなことを言っても…」と、少しヒヤヒヤしていたが、目が覚めて、これまで、大事なところでいつも父が手を差し伸べてきてくれたことを思い出し、夢の中での父は「父性」の象徴であり、自分自身を守ってくれている存在があることを教えてくれている、もしくは誰かを精神的に頼っていることやそこからの自立のようなものが必要だということを暗示しているように感じた。

家の前の通りの車の往来は昨日より増えている。人々は「新年モード」などではなく、もうすっかり平常運転のようだ。2020.1.2 10:45 Den Haag