479. 久しぶりの朝の書斎から

久しぶりにこの時間に書斎にやってきた。ここのところ8時からの打ち合わせやセッションが続いていたからだ。空に広がる雲は鼠色。湿気をふんだんに含んでいそうな雲が、どんどんと南東の方角に向かっていく。

1階の庭にある藤棚のような棚に伸びる蔓に成っていた葡萄の房はいつの間にか姿を消し、葉っぱもなくなった。スカスカになり、幹とも根とのつかないその姿は、私にとって見慣れた姿でもある。

と、ガーデンハウスの屋根の上を小さな黒猫が走ってきた。あの黒猫は相変わらず「小さな黒猫」のままだ。

一昨日寝たのが遅く、昨日起きたのも遅かったためか昨晩はなかなか寝付けなかった。以前ならそんなとき「眠れない」と焦っていたが、昨晩はそんな焦りはなかった。それは、今日、カジュアルな打ち合わせはあるが、セッションの予定などがないという心の余裕からもきているのかもしれない。

やりたいこと、やろうと思っていることはたくさんある。「毎日規則正しく過ごす」というよりも、「今日やりたいことに没頭する」ということにこの冬は取り組んでみたい。スイスで時計づくりが盛んなのは、冬の時期に家に籠って作業をするというライフスタイルから来たという話を聞いたことがあるが、そんな風に、ちくちくと小さな作業をするというのは小さい頃から意外と好きだったことのように思う。書棚にも1冊、主に植物をモチーフにした刺繍の本がある。誰に向けるでもなく、ただ、ちくちくちくちく。ひたすら内に内に。そんな風に冬を過ごしたら、春の訪れとともに意識は自然に外に向かうだろう。花は自然に開く。今はこの庭の植物たちのように静かに土の中に潜っていきたい。微かに鳥の声が聞こえる。空を覆っていた雲は流れ、南の空高いところには青が広がり始めた。2019.12.9 Mon 8:39 Den Haag