427. サマータイムが終わり

掃除機をかけていると、そのそばから鳥の声が飛び込んできた。掃除機をかけていても聞こえるということは、よっぽど大きな声なのか、それとも、周波数のようなものが違って、掃除機の音の隙間をすり抜けるのか。そんなことを考えていた。今も、チチチチチ、キュキュキュキュキュと、澄んだ音が響く。

昨晩、正確には今日の明朝、サマータイムが終わった。今、パソコンの時計は8:50を示しているが、これは昨日までの9:50ということになる。(ということでいいのだろうかと、家に時計がなく、before/afterを比べようがないため少し不安になったりもする。)時間というのは、人間がその基準を決めているものなのだということを、このサマータイムの切り替えの時にはいつも感じる。それは月や太陽など自然の中のものの動きに由来しているのだが、自分たちの生活に合わせて時計の指す時間の側を変えてしまおうというのは、なんとも都合がいいものだ。時計示す数字ではなく、鳥の声や風の音を聞いて、1日のリズムをつくりたいと思う。

今日は中庭を、見たことがない鳥が飛び回っている。スズメよりも少し小さいくらいで、帽子をかぶっているように頭の先が青く、おなかの側はほんのりとした黄色、ゆで卵の黄身のような色だ。葡萄の蔓の伸びる棚で動いていたかと思ったら、窓際のレンガの壁まで飛んでくる。二羽が連なって遊んでいるようにも見える。随分と身体が軽やかで若若しい動きをしているようにも見えるが、あの鳥たちはあんな具合で冬を迎えるのだろうか。地に根を伸ばすのではなく、重力を受けずに浮かんでいるようなその姿が持つエネルギーは、春から夏にかけての生き物に感じるエネルギーにも近い。しかしあの軽さというのは、意外に秋のものなのだろうか。

そんなことを考えていたら、微かに鐘の音が聞こえてきた。やりたいことはたくさんあるが、今日はあまりパソコンを開かずに1日を過ごしたい。2019.10.27 Sun 9:03 Den Haag

428. 冬支度

18時半にしてはもう随分暗い。と、それが昨日でサマータイムが終わったことに関係する感覚だということに気づく。今は、昨日までなら19時半。今朝も、寝すぎ防止でかけているアラームが鳴ったときに「今は時計の上では7時、ということはこれは昨日までの8時なのか?」と微睡む意識の中で考えていた。今が何時かが分かることは、結局のところ本質的に何かが分かったわけではない。それなのに、こんなにも時刻というものを気にする自分は、どれだけ世の中の慣習に染まっているのだろうかとも思う。

今日は買い物がてら、少し遠回りをしていつも買い物にいくのとは違う商店街を通った。と言っても、我が家から一番近い商店街であり、他の通りのように大きなスーパーやケバブ屋が並ぶのではなく、チーズ屋やワイン屋、パン屋などが並ぶ、いわゆる「地元の商店街」だ。数週間前の日曜にマルシェのようなものが開かれていたこともあり、今日も出店などが出て賑わっていることを期待したが、残念ながら通常の日曜日と同じように多くの店が閉まっていた。商店街と住宅街を通り抜け、運河沿いを歩いて自宅の近くに戻り、それからいつも行くオーガニックスーパーがある通りに向かった。持っている中で一二を争うほど(というほど持っていないが)暖かい上着が必要なほどの気温だったが、それでも思ったほど冷え込んではいなかった。それはそうだ。まだ10月なのだから。オランダの冬の寒さはこんなものではない。

とは言え、私はまだオランダの本当の冬の寒さを知らない。オランダに来たのは昨年の8月だが、昨年は暖冬と言われ、雪が積もることもほとんどなかったように思う。ドイツで過ごしたその前の年は、とても寒かった。雪がずっと降り積もっており、窓からはウサギが雪に足跡をつけていく様子が見えた。ベランダの手すりに積もった雪の中に雪の結晶を見つけたこともあった。

オランダで過ごしてきたこの一年間、天候は身体に優しかった。一人で暮らす心細さがあったから余計にそう感じたのかもしれない。一人で異国に暮らし、心はだいぶ強くなっただろう。一人で立っていられる強さがあるからこそ、フラットな関係で他者と一緒に何かをつくることもできるのだと、最近思うようになった。

書こうとしている書籍の原稿は何度も書き直しながら結局のところあまり進んでいない。第1章にあたる部分は、大きくは書き進められているところもあるが、そもそもこの始まり方で、伝えたいことを表現していくことができるかという疑問にぶつかった。そこで、中身の方から書き進めてみようということにしてみたが、やはりなかなか進まない。そんなことを思っているうちにウェブサイトの調整を始めたものだから、余計に進まなくなってしまった。しかし、書き続けたいという気持はある。来週は少しスケジュールがゆったりしているので、執筆の時間を集中してとっていきたい。

日記を書くときもそうなのだが、書き始めは「今日は何か書くことがあるかな」くらいの気持ちだ。そこからだんだんと書いているうちに色々なことが出てくる。気長に、ほどよいリズムを作りながら、言葉を置いていくことに取り組み続けたい。

今日の収穫は、ハンドミキサー(マッシャー)を買ったことだ。早速野菜スープを作ってみると、いい具合にドロドロとしたオランダ式のスープができた。この冬は、色々な種類のスープを楽しむことができる。来たる、寒い季節への準備を着々と進めている。2019.10.27 Sun 18:56 Den Haag