418. 雨の日の訪問者

目が覚める随分前から、夢を見ていることは分かっていた。「ああ、今はこういう夢を見る時なのだな」と、そんなことを思っていた気がする。

そしてそんな、思考とも言えないゆらゆらした感覚が、気づけば雨の音になっていた。雨の音がただそこにあって、しばらくして、雨の音を感じている自分が現れた。身体も、感覚さえもそこになくて、ただ雨がそこにある。心地よい微睡みの時間だった。

今日という一日の中で、何ができるだろうと考える。

日本から遠く離れたオランダの、北海に面した小さな街。

そこで私にできることは言葉を繋ぐこと、紡ぐこと。

降りてくる言葉は、誰かの想いであり、宇宙を漂う孤独な星屑の破片だ。

それを掬い取って、じっと見つめ、真っ白な紙の上に置く。

そこから聞こえてくる声から感じることを伝えてみる。

それが、誰かのためになるかは分からない。

だけども言葉が降りてくるから、私はそれを受け取ろうと、そっと手を差し出さずにはいられないのだ。

今日みたいな雨の日は、いつもよりは少し憂いを含んだいつもはなかなかやってこない人見知りの言葉たちがやってくる。

まずは一緒にお茶を飲んで、静かに、一緒に時間を過ごすことから始めよう。2019.10.21 Mon 7:50 Den Haag