370. 波打つコンサートホールの夢

小さな湯のみに入れた白湯を冷ましている間にベランダに出ると、中庭のガーデンハウスの上に黒い塊が見えた。二つの透明な光がこちらを向く。とことこと屋根の上を動く。

それが数分前のことだが、今はもう、空は白く、世界にはくすんだ色がつけられている。日の入りの時間はまだ、「1日が短い」と感じるほど早くなってはいないが、日の出の時間はすっかり遅くなっている。ガーデンハウスをはさんで見える向かいの家々の窓の向こうにはオレンジ色の明かりが灯っている。

今日も長いこと夢を見ていた。全体としてその質感が重たく感じるのは、鼻が詰まって息苦しかったからだろう。覚えているのは、大きなコンサートホールのような場所にいるシーンだ。ホールの床は緩やかに立体的に波打っており、その上に、大学で使っていたような、机は固定され座るときに開いて使う方式の椅子が備え付けられている。当初、向かって左側のエリアに座ろうとするも、以前、同じクラスの人たちがいる場所では座る席が見つけられたなかったことを思い出し、向かって右の、知っている人がほとんどいないエリアで座る場所を探した。

そこから周囲の人といくつかのやりとりがあり、ホールを離れ自宅に戻ろうとする。途中、「担任の先生」のような人が話しかけてくるが、それは中学校でサッカー部のマネージャーをしていたときの顧問の先生だった。途中までは数人の同級生たちと一緒だったが、だんだんと人がまばらになっていく。最後には近くに住むTさんと、もう一人の同級生Fさんと一緒だったが、Fさんは私たちの住んでいる団地とは違う方面に住んでいるということで、別の道を進んでいった。途中の道は多少複雑になっていたが、そのときに歩いていたのは、小学校から当時住んでいた自宅までの道のりだった。

意識が現実世界に向けられ、しばらくして目覚まし時計が鳴った。先日、iPhoneを買い替えデータを移したところ、セットされている目覚ましの時間も引き継がれたが、その音までは引き継がれていないようで、ビビビビビと鋭い音が鳴る。身体は、治っているとは言えないが、悪化しているわけではなさそうだ。1日は、静かに始まりを迎えている。私も、静かに動き出す。2019.9.23 Mon 7:49 Den Haag

371. 日本との距離

気づけばすっかり外は暗くなっていた。夕食を終え、noteに書いた記事をfacebookで共有したところ、ちょうどfacebookを見ていた日本の友人が連絡をくれた。これまで、日記やnoteにアップしている内容をfacebookに共有をして来なかったが、それは、日本で大量に交わされている情報からは距離を置きたいと感じていることに加えて自分が欧州に来るときに周囲に伝えていたやりたいことをなかなか実現できていない後ろめたさのようなものがあった。実際には「言ったことを実現できているかどうか」を気にしているのは自分だけで、周囲の人はこれまでどんな状況でも、あたたかく私のことを見守ってくれてきた。だからこそ、想いをなかなか形にできていないことを、自分としては気にしていた。しかし、そんなことはもう、気にする必要はないだろう。例え人が自分にどんな評価をしようとも、どんな感情を抱こうとも「そのことによって自分を評価する」のは、他でもない自分自身なのだ。これからも過剰に行き交う情報からは距離を置いていきたいが、大切な人たちに、これまでの感謝も込めて、志半ばだとしても想いを持って歩みを進めていることを届けていけたらと思う。

欧州に来て3年目、ようやく日本との距離を良い具合に保てるようになってきたのかもしれない。

今日は夕食に、秋の季節に身体に良い食べ物である豆腐ときのこ、そして野菜の中で特に豊富に植物性たんぱく質を含むと先日日本から来ていた友人に教えてもらったブロッコリーを食べた。昨日からハーブを使ったシロップをお湯に溶かして飲み続けていることもあり、喉の調子は少しずつ良くなってきた。ものすごく高い力を発揮するということよりも、調子を崩さないということが重要なのだということを実感している。2019.9.23 Mon 21:40 Den Haag