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360. オランダでの法人設立のことを考え学んだこと

二日前の日記を読み返し、ウェブサイトにアップした。二日前のことが、もうだいぶ昔のことのように思える。いつもとは違う環境の中でいつもとは違う刺激が多く、そのため、普段に比べると、多くの時間を過ごしているように感じるのだろうか。一昨日から今日までのことを、改めて順を追って振り返っていきたい。

一昨日は午前中のセッションを終え、スキポール空港に向かった。飛行機でやってくるパートナーを迎えに行くためだ。昨年の8月にオランダに来てから、何度もスキポール空港を使ったが、自分が飛行機に乗るために訪れるよりも、人を迎えるために訪れた回数の方が多いだろう。到着ゲートから人が出てくるのを待つ時間というのはいつも幸せな時間だ。それはもちろん自分が待っている相手がいるというのもあるが、同じように出てくる人を待つ人々の様子、そして出てきたときに自分を待つ人を見つけて表情が変わる人の様子を見ることができるからだ。待つ人の多くは、「首を長くして」いる。そんな中、待っていた相手が出てきたときに、喜びを大きく表す人もいれば、何事もなかったかのように振る舞う人もいる。欧州では、ハグや握手など、出会いの挨拶を身体的にハッキリ表現する人が多いが、それでも気持ちの表現の仕方は人それぞれだ。待っている間の様子、そして出会いの様子を見て、その人たちの心境を想像し、毎度のこと、勝手にそこにある物語にジーンとしたりしている。おそらく、今後、私がこんな風に人を迎えることは減るだろう。今ここにある気持ちで迎えることは、今だけなのだと思うと、人を待つ時間がとてもかけがえのないものに思えてくる。

空港からは、滞在先のライデンではなく、空港とライデンの間にある会計事務所に向かった。これまでお願いしてきている会計士に、会社設立のメリットや手続きについて聞くためだ。今後、オランダでコーチングとデザインを組み合わせた活動や、それを行うラボのようなものをつくっていくことを計画しているが、それにあたって、個人事業主ではなく法人という形態にしておいた方がいいのか、それとも他に何か方法があるのかということを確認しておきたかった。会計事務所に向かうタクシーの中では、なぜタクシーにテスラを使っているのかということを、生まれも育ちもアムステルダムだが、両親はモロッコから来たという運転手に教えてもらった。事務所につくと、ドアの枠と同じくらい、長身の会計士が出迎えてくれた。彼に会うのは、昨年8月に個人事業主ビザ取得のためのバランスシートをつくってもらうための打ち合わせをして依頼だ。

会社設立については、結論としては法人形態にするのは、よっぽどその必要性に迫られたらで良いのだと理解した。法人にするとその分会計手続きなどが煩雑になる。メリットと言えばクライアント等に対して何か補償を行う際の責任範囲が個人に及ばないということが挙げられる。他にも大きくは、活動内容によっては税率が優遇されるなどの特例もあるが、それはある程度売り上げが上がっているときに有効な内容であって、個人の活動を延長していくにあたってすぐに有益なものではなさそうだ。法人にする以外にもVOFと呼ばれる、2者以上でパートナーシップを結んで事業を行う形態があるということを知った。この場合、一つの事業体となるため、会計や契約の面において、パートナーシップを組む者同士が別々に個人事業主として活動するよりも手続きが少なくなるし、クライアント先への見え方もシンプルになる。パートナーシップを結ぶ者同士がそれぞれ独立して滞在および就労もしくは個人事業主のビザを持っている必要があるため、実際には独立して個人事業主活動を行なっている人たちが、共同で事業を行う際の事業体ということになる。しかし、お互いの専門領域が完全に違い、実務上、別々のことをするのであれば、VOFにしなくてもいいのではということも教えられた。オランダの特性なのか、お願いしている会計士の特性なのか(おそらく前者だと思われるが)、重要視されたのは「実際はどう活動するのか」ということだ。手続きや税金のメリットなどもそれぞれあるが、そのためにどういう事業体を取るかではなく、実際にどうするかに合わせて事業体を選ぶべきだというのは至極真っ当な考え方に思えた。そして、個人事業主からVOFにすること、VOFから法人にすることはそれぞれさほど手続きは難しくないが、それらを解体もしくは解除するときには手間がかかるということも聞いた。特にプライベートなパートナーシップと一緒になっていると、別々になるときは大変だと言う。(そのときはどちらにしろ大変だけどね、と会計士は笑っていた。)確かにそれはそうだ。オランダの人たちの考え方は非常に合理的だというイメージだが、解散するときの大変さを考え、必要に迫られていること以上のことをわざわざしないというのも彼ららしい考え方だと感じた。

私としては今後、今の専門領域をさらに深め、他の領域の専門家と一緒に活動することはあっても、活動領域自体を手広く広げるということはないだろう。あれこれ幅広い領域のことを考えることも好きだし、やろうと思えば手を動かすことも幅広くできるが、それをすると頭がそのモードになり、今の仕事で発揮したい思考や感性の領域とは違うところが優位になってしまうと感じる。この二日間、改めて今の暮らしが特殊であり、かつそれが、発揮したいパフォーマンスには有効に働いているということを実感しているので、これからも極端に領域を絞るくらいに専門領域に特化し、そこにエネルギーを向けていきたいというのが、会社設立等について教えてもらいながら改めて考えていたことだ。

ネット上でも様々な情報を得ることができるが、やはり自分が実際に話を聞き、個別の状況に照らし合わせたことというのは、より良い選択をしていくことにつながっていくだろう。2019.9.14 Sat 20:02 Leiden