248. クコの実から考え始める陰陽五行とコミュニケーションのこと

ピーともカーともつかない声を張り上げながら、一羽のカモメが頭上を通り過ぎた。書斎の中にいるので、建物の上ということだが、ここにいると、外の音、建物の中の音、遠くの音、近くの音、色々な音が聞こえてくる。サイレンの音が聞こえ、日本から来ていた友人が「オランダはサイレンの音が少ない」と言っていたことを思い出す。確かにこんな風に音が聞こえることはめずらしい。向かいの家の庭には今日もピンクの薔薇が飾られている。

今日は二杯目の白湯にクコの実を三粒入れた。クコの実は日本では杏仁豆腐の上にちょこんと載せられていることが多い。中国では枸杞子(くこし)と書く。家にある薬膳茶の本を開くと、枸杞子は「清」と呼ばれる分類に属し、体表や臓腑の異常な熱を冷まし、臓腑の陰陽のバランスを整える性質を持ち、中でも、臓腑の機能が低下することによる眼精疲労を回復することが期待される効能だと分かる。枸杞子はスーパーフードの一つでもあり、ビタミンCを多く含み、女性ホルモンを整えるということから気になっていたが、パソコンを多く使う人には良いという話も聞き、取り入れてみることにした。

陰陽五行については食やお茶、身体全体を整える観点からこれまでいくつかの書籍を通して学んできたが、久しぶりにその考え方に触れると「全体性」と「流れ」を重視しているということを実感する。今の自分の興味がそこにあるのかもしれない。ある特定の臓器に効果があるものは摂り過ぎると別の臓器にはマイナスに働いてしまうという考え方があり、料理などは必ずそのバランスが取るように組み合わせられている。筍の煮付けに木の芽が添えられていることがあるが、それは、筍は体の熱を冷ます作用が強いが、それによって胃腸を冷やし過ぎてしまうと消化能力が低下することにつながるため、温性の木の芽でバランスを取るという考え方から来ている。きんぴらごぼうに赤唐辛子がかけられるのも同じ原理だ。日本食には陰陽五行のバランスを取る工夫が多くされている。それが見た目の美しさにもつながっているが、現代社会においては見た目の方だけが重視され、性質としてのバランスを崩してしまっていることが多いだろうと想像する。食についてはできるだけ暮らしている土地のものを摂るという考えをベースにしているが(と言うほど多くの食材は使っていないが)、一方で、東洋人として日本人として持っている絶対的な体質というのもあるだろう。海外でチャレンジするものの本来持っている力を発揮しきれないままになってしまう人の中には、食と気候・気温の変化によって心身に大きな負荷がかかったことが要因となっているケースも多いように思う。食と茶、陰陽五行についてはずっと関心を持ち続けているが、これは今後、数年後くらいから本格的に取り組み、人に提供していくテーマなのかもしれない。

同時に今、この陰陽五行の考え方がコミュニケーションや人間の成長の後押しにも取り入れることができないかと考え始めた。単に「バランスを取りましょう」という話ではなく、五種類の項目が螺旋のように渦巻いて上昇していくイメージだ。同時にその中でゆらゆらと揺れが起こるのだが、その揺れが、五つの変数のバランスによって蘇生され、それが波のようになっているような…。漠然としたイメージだがもしかしたら陰陽五行の考え方をもっと深く学べば、それを人のコミュニケーションにも結びつけられるかもしれない。特に今は「影響を与え合う」という考え方が重要だと思っている。物事を静的かつ表面的に整理しようとすると、その中にある要素は一対一の関係や一方向の時間的な流れがあるように見えるが、実際にはそれらはもっと動的で、双方向に影響を及ぼしあい、さらにはそこに表現されていないものが結節点となっていたりもする。分かりやすく整理すると、それによって人には伝わり易くなるが、そこにある複雑性や不連続性、偶発性を忘れてはならないというのが今注意したいことだ。

考えたいことがまたたくさんできてきた。そんな中で、今日は今日のことに向き合っていく。2019.7.30 Tue 7:44 Den Haag