新しい場所で過ごす1度目の季節はいつも突然やってくる。むしろもうやってきていたのだと、過ぎる頃に分かる。昼間の気温が20度を超え、半袖でもちょうどいいくらいの暑さの中、春どころか夏がすでにやってきていることを感じていた。そういえば庭の木の枝の白い花はすっかり散り、緑の葉が茂り、木は一回り大きくなっているように見える。

せっかく天気がいいのでと今日はGoudaまで出かけてきた。昨日のうちに、今日もし天気がよかったら、隣町のLeidenDelftまで行こうかと考えていたのだが、ちょうど今あるチーズを食べ切ってしまったこともあり、せっかくならゴウダチーズの産地であるGouda(オランダ語ではハウダ)まで行こうと思ったのだ。GoudaまではHaagの中央駅から特急電車で20分ほどだが、これまで乗り換えをしたことしかなかった。「小さな街よ」と以前会ったGoudaに住んでいる日本人の方が言っていたが、着いてみると思ったより賑わっている街だった。

Haagもいい街だが、私はLeidenDelftGroningen、そしてGoudaのような街も好きだ。街中をトラムが走っていない分、特に中心部の、水路に囲まれたエリアはほどよい幅の歩道通り、そして中心部には広場があり、マーケットが開かれ、賑わっている。自転車も、AmsterdamHaagほど多くなくて、散歩をしてまわるにはちょうどいい街だと思う。その分、週末など、毎回観光地に出かけるような気分になるのだろうか。その点ではHaagは街が少し広い分、中心部から少し離れたところでも小さな商店街があり、普段の買い物をするのにそこまで賑わった場所に行かなくていいからちょうどいいのかもしれない。

こんな街に住むのもいいなあと思いながら、中心部を囲む水路沿いを歩き、静かそうなカフェに入った。1階にいくつかのテーブルが空いていたが一人であることを告げると、2階に案内してくた。2階にはお客さんは誰もおらず、いくつかのテーブルには白いお皿にクリーム色の紙ナプキンをしいたテーブルセッティングがしてあった。「今日はイースターの予約が入っているから」と案内した女性が教えてくれた。どうやらイースターというのは、外食をするような「お祝いの日」のようだ。店の端にはボードゲームやカードゲームが入っているであろう箱が高く積まれている。こんなところでもオランダの人々はゲームを楽しむのか。その光景を見てみたい、できればそれに、混ざってみたいと思った。

最近は昼間は軽い食事をしていたし、マーケットでは食べ歩きできるポテトフライやパンなども売られていたけれど、わざわざカフェに入ったのは久しぶりにオランダのスープが食べたかったのと、座って本を読みたかったからだ。オランダのカフェで出てくるスープは、たっぷりの野菜がどろどろとしたスープ状になっていて、飲むというより食べるという食感とボリュームがある。身体があったたまりおなかが満たされる割に重くなくてヘルシーで、店によって違うスープの味を味わうのは、滅多にない外食時の楽しみになっている。しっかりした味付けも独特で、できればせっかくオランダにいるので、家でも様々な種類のスープを作れるようになりたいと思っているくらいだ。今日のスープは、かぼちゃがベースになっているのか、栗色のペーストに生姜とハーブが入っているような、ほっとする味だった。

スープを食べ終え、カシスのジュースを飲みなが井筒俊彦さんの『意味の深みへ』を読み進める。放っておくと、その文章の言わんとしていることを咀嚼しないままに読み進めてしまい、次に読み始めたときに「ここは読んだような読んでないような」となってしまうので、ゆっくりと噛みしめるように読み進めているが、そうするとなかなか進まない。早く読み進めて、この本全体で言われていることが何なのかを理解したいと思うが、このゆっくりと読むというプロセス自体からも何か脳内に起こることがあるのだろうという気がしている。

遠くで、花火が上がるような音がしているがこれもイースターのお祝いの一環なのだろうか。頭は先ほど目覚めたときとさほど変わらず少し重みを感じるが、せっかく週末らしい週末なので日本で買ってきたDVDを観てから寝ようか、迷っている。2019.4.20 22:02 Den Haag